「あ、目が覚めました?」
 顔に降る花びらに灰色の目が瞬きしました。黒い衣に降り積もった花びらを見て、
不機嫌に払います。
「アラゴルン。」
「降りてこい、性悪エルフ。」
「性悪! 性悪だって?」
「人の束の間の休息を邪魔をして楽しいか? ああ、もう・・花だらけだ。」
「だって貴方の寝顔がかわいいから〜。」
 レゴラスが木の上から手を伸ばし、頭を振るアラゴルンを手伝って、黒い髪に絡ん
だ花びらをひとつひとつとります。歌いながら上機嫌で。
「はい、キレイになりましたよ。」
「まだ花の匂いがする。」
「全部とりましたってば。」
「ああ・・・これか。」
 アラゴルンが白い手をとって、嗅ぎます。
「ニフレディルの香りがします?」
「する。」
 違う香りが。髭の感触にレゴラスは笑いました。
「くすぐったい。離してください。」
「もう少し。いい香りだ。」
 目を閉じ、引き寄せた白い腕を嗅ぐアラゴルンを見下ろし、レゴラスは言いまし
た。
「貴方はニフレディルが好きなんですね。」
「そうだな。・・降りてくるか?」
「どうしましょう。」
「どちらでも。」
「さっきまでニフレディルの花畑にいたので、ちょっと。」
「ちょっと?」
「全身をその髭でくすぐられては、笑い死にしそうです。」
「哀しみで死ぬエルフはいても、笑い死にしたエルフなんてきいたことがない。」
「笑い死になんかしたら、歌に作られ、永久に西の果てまで語り継がれてしまう。私
と貴方。」
「それもまた一興だが。」
「ごめんですよ。」
 冷たい白い手にアラゴルンは唇を寄せました。レゴラスがその細い指先を長い指に
絡めます。
「ではこのままで。」
「このままで。」
 しばらくは。ずっと木の上でなんていられないのですから。
 いつかは、私に。降るだろう、かぐわしき花。












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000Hitsのキリリクをいただいた「April-1st.」の塔さまが
リク絵におまけのSSを付けて下さいました!幸せ!
塔さま、ありがとうございましたっvvv



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